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2010年 2月 6日 (土)
イヤー、今日は忙しかったなー
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今日は朝から外来・病棟の管理でバタバタしておりました。 さらに当直まで・・・
2/6 明日はうちのレジデントの先生が初めての学会発表あり、院長と先ほどまでレジデントの学会発表の準備を手伝いました。
そういえば、私も医師になって3年目に初めての学会発表をしましたが、 当時の指導医であった院長先生に親身になってご指導をいただき、なんとか 発表をしたことを覚えています。
当時は奄美にいましたので、福岡であった学会の発表の場にはフォローしてくれる指導医はおらず、どんな質問がくるのか、たいそう緊張していたことを覚えています。
明日のレジデントの発表には一緒についていって、彼の成長ぶりを見るのが楽しみです。あまりフォローはできないかも^^
後日談;発表はうまくいきましたよ^^
どんな質問がくるか楽しみでしたが、きわどい質問はなく、レジデント自身が 質問に答えてくれました。これでレジデントも一歩成長したと思います。
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2010年 1月 31日 (日)
かごしま医療過疎 最終 (南日本新聞の連載から)
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かごしま医療過疎 再生先進地からの報告 2010年1月 南日本新聞
昨年11月中旬、千葉県東金市の県立東金病院会議室で活発な論議が続いていた。2年間の初期研修を終えて同病院で後期研修中の医師1人を、さまざまな年代の住民約10人が囲み、がんの告知について注文をつけていた。 特定非営利活動法人(NPO法人)「地域医療を育てる会」と同病院が協力して、2007年春から開く「医師育成サポーター制度」による意見交換だ。研修医1人が1年間毎月1回、サポーターの住民と対話する。医師はコミュニケーション能力を、住民は医療知識を高めるのが狙いだ。
「患者が高齢者なら、本人ではなく家族に説明する」と話す医師に、住民は「がんとはっきり言ってほしい」「高齢者でも趣味があり前向きに生きている人は(告知に)耐えられる」と主張。互いに30分ほど意見をぶつけあった後、医師は「今後の診療の参考にする」と締めくくった。
サポーターの1人、同県茂原市のグループホームで精神障害者の就業を支援する千葉一さん(47)は「医療が身近になった。医師や市民らいろいろな意見を聞き、仕事に生かしている」と話す。
この日初めて見学した東金市の城西国際大学の秋元雅之薬学部長は「住民との対話は、薬剤師にも参考になる。学生に参加を呼びかけたい」と語った。
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1年間の同制度を“修了”した医師はこれまで2人。うち1人は、昨年4月から鹿児島大学病院心身医療科で学ぶ蔡(さい)明倫(みんるん)医師(30)=大学院博士課程1年、千葉大卒=だ。
一番の思い出は、血液検査や点滴の際にまれに起きる、しびれなどの合併症についての論議という。
「合併症を知ると、採血を拒否する人が増える可能性がある」という蔡医師に対し、住民は「採血の危険は知らせる必要がある」。4カ月の議論の結果、住民の意見を取り入れ、合併症が起こる可能性があるという文書を採血室に張り出すことになった。
現在、向き合う心身医療科の患者は、病院を複数受診しても体調不良の原因が分からず、医療不信になっている人が少なくない。
蔡医師は「生活環境を知った方がいい治療ができる。どうすれば患者がすべてを話してくれるか考える。もっと笑顔があった方がいいと、東金病院で住民からアドバイスを受けたことが、現場で生きている」と明かす。サポーター制度が診療現場を変えつつある。
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鹿児島では昨年、研修病院や行政が集い、充実した研修を進める「初期臨床研修連絡協議会」が発足。県医師会も研修医の生活などを支援する独自の基金を創設、医師確保の体制が整いつつある。
地域医療再生を学び、鹿児島に還元したいと、東金病院に赴任して間もなく3年となる古垣斉拡(なりひろ)医師(37)=肝付町出身=は訴える。
「再生には住民を巻き込んだ地域の連携と、医師を育てようと強い意志を持つ病院づくりが欠かせない。学べる環境があれば医師は集まる」
(社会部・浦牛原健) =おわり=
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2010年 1月 26日 (火)
かごしま医療過疎 その5 (南日本新聞の連載から)
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かごしま医療過疎 再生先進地からの報告 2010年1月 南日本新聞
2005年1月、千葉県東金市であった行政主催の医療シンポジウム。意見交換会では住民から医療充実を訴える声が相次いだ。だが、行政や医療関係者は「医師確保に努力している。理解と協力を」と繰り返すだけで、論議がかみ合わない。会場にいた同市の主婦藤本晴枝さん(45)は「医療と住民の間にある溝は深い」と感じた。
藤本さんは同年12月、東金市を中心とした山武(さんむ)医療圏の住民と医療機関との懸け橋を目指そうと、知人らに呼び掛けて特定非営利活動法人(NPO法人)「地域医療を育てる会」(35人)を立ち上げた。
主婦や会社員らが月1回集まって知恵を出し合い、勉強会を開いたり、情報紙「クローバー」(A4判、2ページ)を発行したりして、医療界への要望や、住民は何をすべきかを訴えている。クローバーは、毎月1回発行。同市の全戸(約1万7000戸)のほか、公的施設などに計2万部配布している。
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07年8月。同市の50代男性が自宅で倒れ、救急隊が受け入れ先を探したが、14カ所に断られ死亡した。その半年後、マスコミは一斉に「たらい回し」と報じた。
報道によると、各医療機関の拒否理由は「診察中」「医師不足」。地域の病院や医師への世論の風当たりが強まった。
発熱した子どもの病院探しに苦労するなど、母親として「医療過疎」を肌で感じていた藤本さんらは、医療機関が受け入れ拒否した理由を自分たちで調べ始めた。「現場の実態を知らずに医師を批判すれば、地域から医師はますます離れ、悪循環に陥る」との思いからだった。
藤本さんは地域の2次救急を担う県立東金病院(同市)、国保成東病院(山武市)の医師を訪ねた。 当時、東金病院では、ウイルス感染による超重症の皮膚病や高血糖患者の緊急入院が相次いでいた。成東病院では、手術患者の処置中のほか、大腸がん患者や急患が数人搬送されていた。
1カ月後、クローバーに緊急リポートが掲載された。受け入れ拒否は、医師不足が招いた結果ではあるが(1)医師は懸命に治療にあたっていた(2)医師不足で24時間体制の救急医療が組めない―と、地域医療の現実を紹介。今頑張っている医師の負担軽減のために、軽症の場合は病院ではなく近くの診療所を訪れたり、できるだけ日中の受診をするよう呼び掛けた。
藤本さんはその後、市民から「熱が出てもすぐ病院に行かなくなった」との声を聞いた。市民の意識が変わり始めていると感じた。
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地域医療問題に詳しい慶応大学総合政策学部の秋山美紀専任講師は「住民と医師が互いを理解し、相手の立場を考えた行動をとるようになると、地域医療は再生していく」と話す。
会の活動は5年目に入った。現在、国の「地域医療再生計画に係る有識者会議」に唯一の民間人として参加する藤本さんは「地域医療の充実にゴールはない。今後は行政を巻き込んだ活動を進めていく」と力を込めた。
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2010年 1月 26日 (火)
かごしま医療過疎 その4 (南日本新聞の連載から)
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かごしま医療過疎 その4 再生先進地からの報告 2010年1月 南日本新聞
「生活習慣はまじめ。糖尿病指標がもう少し下がるよう頑張りましょう」。糖尿病と高脂血症がある60代の女性の電子カルテ。記入したのは、千葉県九十九里町にある片貝薬局の薬剤師、富田勲さん(69)だ。
投薬内容や、薬剤師として気付いた点を書き込んだ。 富田さんは「服薬指導は1人最低10分はかかる」。説明後は、患者に説明した内容のほか、生活環境などをカルテに入力した。
カルテを管理するのは、片貝薬局から車で分ほど離れた同県東金市の県立東金病院。電子カルテは、東金病院を中心に、地域の診療所、薬局などを結んでおり、「わかしお医療ネットワーク」と呼ばれる。2001年度に始まった経済産業省のモデル事業だ。
主治医ら病院側は、患者の電子カルテに血糖値などの検査結果、処方する薬の種類や量を入力する。薬局では、患者が訪れれば、専用回線で結ばれたパソコン画面を開き、電子カルテを見ながら病気の症状、薬の飲み方を説明する。 オンラインデータを利用した服薬指導は全国初の試みという。
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一般的な処方せんには、病名を記す必要はなく、薬剤師は薬を見て病名を推測する。一方、電子カルテに書き込まれた検査データや医師のコメントを見れば、薬剤師は、病名が分かり、薬の変更や投薬量の増減の理由もよく分かる。富田さんは「仮に抗がん剤が含まれた場合、電子カルテなら、がん告知の有無も確認可能」と活用法を説明した。
山武郡薬剤師会が3〜4年ほど前に、電子カルテを利用する患者380人を対象にしたアンケートによると、電子カルテを使ったオンラインの服薬指導に満足する患者は7割を超える。
患者の糖尿病指標やコレステロール値を、オンラインの服薬指導と、通常の処方せんだけの服薬指導を比較すると、オンラインの方が、数値が改善する好結果を得られた。
電子カルテは、複数の医師や薬剤師が見ることができるため、投薬量や薬の種類の違いなどのミス防止にもつながる。
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東金病院は、同じ医療圏内の診療所の医師らに専門的な医療技術を教えたり、医師のほか看護師、薬剤師ら向けの勉強会などを開いている。こうした取り組みで構築された人的ネットワークに、IT(情報技術)ネットワークを加え、地域の結びつきがさらに強まった。
同金病院の調査では、病院から診療所、診療所から病院への患者紹介率はともに大幅にアップした。入院患者の在院日数は平均22日から15日まで短縮でき、患者の症状が早く良くなっていることが裏付けられた。
わかしおネットワークの発案者で、東金病院の平井愛山院長(60)は「地域の限られた医師らを最大限活用するには、ITの活用が不可欠」と話す。
東金病院から車で30分ほど離れた松尾クリニック(山武市)は、糖尿病患者ら25人の電子カルテを共有する。金子昇院長(55)は「病院で行う専門検査のデータを見ながら継続的な治療ができる。投薬の無駄もなくなる」と話した。
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2010年 1月 21日 (木)
かごしま医療過疎 その3 (南日本新聞の連載から)
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かごしま医療過疎 再生先進地からの報告 2010年1月 南日本新聞
昨年10月下旬、千葉県九十九里町のホテル。午後7時すぎ、県立東金病院(東金市)や、近くの診療所の医師、薬剤師、看護師ら50人ほどが集まった。同病院が中心となり年4回開く糖尿病研究会だ。 講師は、糖尿病とかかわりの深い循環器の専門家。「臨床現場では、(学会が示した)ガイドライン通りでは(命は)助けられない。ガイドライン(の手順)を超える気持ちを持つことが大切」と、データを示しながら訴えた。参加者はメモを取りながら聞き入った。
東金病院では、開業医を招いた症例検討会、勉強会が毎日のように開かれる。場所は、もっぱら院長室。朝でも深夜でも、医師、看護師、薬剤師らが集まり議論を交わす。
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1998年春、千葉大学病院から東金病院に赴任したばかりの平井愛山院長(60)は、足を切断しなければならないような血糖値が異常に高い糖尿病患者が多いのに驚いた。
同病院がある医療圏内の切断数は20万人あたり年6・8肢で、全国平均1・2肢の5倍超。医療圏内の糖尿病患者は1万人超で、うち1200人はインスリン治療が必要と推定された。
だが、医療圏内の糖尿病専門医は、平井院長を含め3人。高度技術が必要なインスリン治療は、同病院を除けば、1診療所でしか行われていなかった。 平井院長は「病院完結型」から「地域完結型」への転換を決断した。
少ない医師を効率よく活用するため、重症者は同病院で診る代わりに、軽症者は専門医がいなくても診療所で体調を管理し、1年に1回程度、病院の専門医が診察するという方式だ。
課題は、糖尿病の診療技術の普及だった。「血糖をコントロールするインスリン量の調整など、独学で知識を得るのは難しい」と同病院の古垣斉拡内科医長(37)=肝付町出身。専門医ではない開業医に一定程度の知識、技術を移管しようと始めたのが、研究会や勉強会だった。
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同病院から車で30分ほど離れた松尾クリニック(山武市)の金子昇院長(55)は積極的に参加する1人。専門は呼吸器内科。「開業前は千葉大病院にいたが、糖尿病はノータッチ」だった。
勉強会に参加する前は、血液検査で分かる血糖コントロール指標を見ながら、投薬で対応したり、専門医を紹介したりしていた。今は、血糖コントロールが安定している患者のインスリン治療の管理もこなす。
医療圏内の糖尿病専門医はほとんど増えていない。しかし、糖尿病を地域で診るため始めた勉強会や研究会が実り、今はインスリン療法を扱う診療所(07年4月現在)は36カ所まで増えた。
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2010年 1月 17日 (日)
かごしま医療過疎 その2 (南日本新聞の連載から)
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かごしま医療過疎 その2 再生先進地からの報告 2010年1月4日 南日本新聞朝刊
2004年に始まった新人医師が自由に研修先を選べる臨床研修制度で、研修医は症例が多い都市部に集中。全国の地方大学では、医師が足りなくなり、地域の病院への医師派遣を担っていた大学の医局制度は崩れた。
千葉県東金市の県立東金病院でも、医師派遣を受けていた千葉大からの引き揚げが相次ぎ、内科に11人いた常勤医は、06年には2人に激減。外来診察は深夜まで続き、急患は断らざるをえなくなった。
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地域の拠点病院としての機能を果たせなくなった同病院の医師数回復への転機となったのは、「日本内分泌学会」(約7000人)の専門医育成の教育病院認定だった。
内分泌疾患は、ホルモンに起因する糖尿病や甲状腺など。メタボリック症候群とも関連し注目されている分野で、会員は3年で300人以上増えている。
東金病院の平井愛山院長(60)は、1998年の赴任直前まで千葉大学病院医局長で、医師派遣の責任者。大学依存の地方病院の医師確保の危うさを見てきただけに、自前で医師を育てようと、同学会の教育病院を目指してきた。
認定には、常勤指導医がいる、継続5年以上の診療実績―などの基準を満たさなければならない。鹿児島では鹿児島大学病院だけだ。 東金病院の認定は06年4月。全国から「専門医」を目指す医師が集まり始め、2人まで減った内科は07年4月には6人まで増えた。
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昨年10月下旬の東金病院。外来診察を終えた夕方、院長室に内科医長の古垣斉拡医師(37)=肝付町出身=や研修医ら約10人が集まった。
毎月開く研修医の症例検討会。どんな患者を診たか、どんな治療をしたか、研修医が1人ずつ1カ月間の診察を振り返る。発表後、先輩医師らが治療法や対処法などを細かくアドバイスする。検討会は30分ほどで終わったが、その後も研修医の個別質問は相次いだ。
昨冬には、新たな研修医支援も始まった。千葉大の医師が週2日、東金病院の研修医をマンツーマンで指導。月1回はテレビ電話で大学と結び、同大の教授らが集う症例検討会にも参加できる。同大病院の計良和範助教(32)は「地域で外来を診ながら大学の先端医療も学べる。全国でも恵まれた研修環境」と語る。
病院は07年から、内科疾患全般を総合的に診療する日本家庭医療学会認定の研修プログラムを実施している。指導医で責任者の古垣医師は、カリキュラムに、自分が地域医療を考えるきっかけとなった離島医療を組み入れた。研修先は、古垣医師が赴任していた瀬戸内町の南大島診療所。2011年春にも、初めての研修が始まる。
東金病院で研修2年目の山本高義医師(27)=富山大学卒=は「病気や治療について不明な点があっても、すぐに指導してもらえる。地域の開業医とも結びつきが強く、勉強になる」と話す。
東金病院の内科医は4月、臨床研修制度導入前を上回る13人体制になる。
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2010年 1月 16日 (土)
かごしま医療過疎 その1 (南日本新聞の連載から)
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かごしま医療過疎・再生先進地からの報告 2010年1月3日 南日本新聞朝刊
鹿児島で、全国で医師不足が続くなか、「地域医療再生のモデル」として、全国の注目を集めている公立病院がある。千葉県立東金病院(191床、東金市)。
2004年度に始まった臨床研修制度を機に医師が減り、廃院寸前まで追い込まれた。だが、地域医療や地域ぐるみで医師を育てる取り組みが根付き、今は鹿児島をはじめ全国から医師が集う。同病院の再生への道のりをたどり、鹿児島の医師不足解消策を探る。
★★★
東京都心から電車を乗り継ぎ1時間余り。東金病院は、田畑が広がるのどかな町外れの一角に建つ。同市を含む「山武(さんむ)医療圏」(人口約25万人)の中核病院だ。初期医療を担うかかりつけ医や薬局と患者のカルテを共有、連携して治療する「病診連携」を実践、地域医療を支える。
昨年10月下旬。肝付町出身で内科医長の古垣斉拡(なりひろ)医師(37)は、外来の診察中だった。専門は糖尿病などの内分泌代謝。「糖尿病だけど、服薬の必要はないね」「血糖値が普通より5倍高い。すぐ入院」。次々と訪れる患者に検査結果を見ながら、時には厳しい口調を交え、治療方針を伝えた。
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古垣医師は、鹿児島大学卒。鹿児島市の病院で初期研修を2年受け、その後奄美大島で4年勤務した。医師が少なく、高度医療を受けられる施設が限られている離島での経験は、病診連携を柱とする地域医療について考えるきっかけとなった。
04年夏、医師4年目の古垣医師は、奄美市の奄美中央病院で勤務していた。台風が近くを通過中の早朝、胸痛を訴える男性が救急車で運ばれてきた。診察の結果、胸の血管が裂かれた「大動脈解離」と分かった。糖尿病、肥満が原因だった。
緊急手術が必要な一刻を争う重症だが、奄美では手に負えない。古垣医師は、県本土か、沖縄への搬送を迫られた。外は嵐。台風の進路にあたる県本土をあきらめ、同日夕、自衛隊ヘリで琉球大学へ搬送した。男性は人工血管を使う手術を受け、命を取り留めた。
数カ月前、「目が見えない」と訴える30代男性を診た。以前、通院していた糖尿病患者だった。「生活が苦しい」と受診を控えているうち、悪化していた。結局、男性は失明し人工透析を始めた。 2人とも、近所の診療所や薬局と連携する地域医療体制が整い、もっと早く専門的な治療を受けられれば、重症化を防げた可能性があった。
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05年4月からは、瀬戸内町の南大島診療所に赴任した。加計呂麻島や請島など離島の中の離島を抱える地域。医師は2人で、訪問診療や、糖尿病患者の運動・食生活の指導、外来・病棟でのチーム医療、老健施設・訪問看護・訪問介護サービスとの連携と、多くの現場を経験した。
患者は、高齢者がほとんど。高血圧など生活習慣を見直せば改善する症状が多く、投薬による治療には、生活環境や家族構成など一人一人の生活史を知ることが欠かせない。地域での目配りの大切さを学んだ。
「患者の自宅も、自分の病棟」という思いで、治療にあたるうち、数年前、研修のため訪れた福岡で聞いた東金病院の平井愛山院長(60)の言葉を思い出した。「生活習慣からくる糖尿病は、地域で診る視点が大切」
古垣医師は「地域に根ざし、急性期、慢性期どちらの患者にも対応する医療を学び、鹿児島に還元したい」と、診療所での任期を終えた07年4月、「地域で診る」を実践する東金病院に赴任した。
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