
千葉県立東金病院 内科 古垣斉拡
2004年4月にはじまった医師の卒後研修義務化に伴い、医療界では百年に一度の大変革が生じています。その発端は多くの研修医が医学部卒業後に大学病院に就職せず、市中の一般病院に就職するようになったことです。研修医が大学病院に就職しないことによる医師不足に伴い、全国の多くの大学病院ではそれまで地域の中小病院に派遣していた中堅医師を大学病院に引き揚げざるをえなくなりました。その結果として2008年3月現在、全国各地で地域の医療が崩壊しつつあります。
小生の住む千葉県でも医師不足は深刻な問題です。首都圏にある千葉県は慢性的な医師不足に以前より悩まされており、2006年度の厚生労働省・調査によると人口10万人あたりの医師数は156人と全国ワースト3位です(全国平均・医師数206人/人口10万人)。それに追い討ちをかけるように今回の医師引き揚げ問題により、さらに医師不足が深刻になっています。
現在、小生の勤務する千葉県立東金病院は千葉県・九十九里沿岸部にある山武・長生地域にあります。千葉県のなかでも九十九里沿岸部は人口10万人あたりの医師数が約90人と最も少なく、医療過疎といっても過言ではありません。2004年には常勤の内科医師13名が在籍していた千葉県立東金病院も大学病院の医師引き揚げにより多くの常勤医師が退職し、2006年前期には内科医師2名まで落ち込みました。そのために救急医療など地域の医療を維持できない状況に陥りました。
しかし、千葉県立東金病院・病院長である平井愛山先生や地域の医師会の先生方をはじめとする医療関係者、地域住民、行政の理解により様々な地域医療を守る取り組みを行った結果、徐々に医師が集まり始めました。2007年後期には 研修医・レジデントを含む7名の内科の常勤医師が在籍するようになり、病院にも徐々に活気が出てきています。
小生は鹿児島県・奄美大島での離島勤務を終えた2007年4月より千葉県立東金病院に赴任し、院長・平井愛山先生をはじめ医療関係者や住民、行政の方々と共に千葉県・山武地域の地域医療の灯を消さないように様々な活動を行っています。山武地域は先進的な地域医療連携が進行している場所でもあり、地域医療を実践するには大変魅力のある場所でもあります。そのため若い医師が徐々に集まる稀少な病院です。この地域で地域医療を実践しながら、医療に携わる側の視点や研修医の教育、臨床研究などを発信していきたいと考えています。今後ともよろしくお願い申し上げます。